綿谷りさ「夢を与える」「インストール」を読んだ

夢を与える 綿谷りさ

以前書いていた、綿谷りさの「夢を与える」読みました。(参照記事:綿谷りさ「夢を与える」
予想通り面白かった。アマゾンのレビューを見るとありふれたストーリーと書いてる人がいたけども、世の中のほとんどのことはありふれていて、それをどう描くかに面白さがあると思う。そのどう描くかについて綿谷りさはセンスがある。よい小説は言語化されないまま脳に存在している物に言葉を与えてくれる。この「夢を与える」は前作の「蹴りたい背中」よりさらに精密に物事が描かれていて、作家として数段成長したように感じられました。
綿谷りさ「夢を与える」(amazon)

インストール 綿谷リサ
「夢を与える」が良かったので、綿谷りさの他の本も読もうと重い「インストール」を買いました。(「蹴りたい背中」は芥川賞受賞作が載る文芸春秋を買ってリアルタイムで読んでいた。

この「インストール」は彼女が高校生の時に書いた小説だそうで、嫌でもその才能を感じさせられます。文体がどうとか、内容がどうとか関係なく、一言でいうと作品全体を通して感じられるセンスがいい。私は人間の能力なんてものは誰もそんなに変わらないと思ってますが(20歳過ぎてやっと気づいた・・・)、ときどきある特定の能力に関しては標準偏差の外にいる人間もちゃんと存在するのを知って嬉しくなります。

インストール 綿谷りさ(河出文庫)amazon
私は単行本を買って読んだんですが、アマゾンを見てみると、文庫版が出ていて、インストールの文庫版には「You can keep it.」という書き下ろしの短編が収録されているとのこと。これ読んでみたいから、文庫版も買わないと♪。
今回、綿谷りさの「夢を与える」を読んでみて、私の中のこの作家の新作が出たら必ず買って読むリストに入りました。

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