昔は中国で通販、というと淘宝網(タオバオ)一択だったらしいけど、今は競争相手がたくさんある。タオバオはCtoC(個人対個人、今は天猫というBtoCもある)だけど、以下はすべてBtoC(企業対個人)のサイト。
京東商城(京东)
タオバオに続く2番手。急成長して2013年の売上は693億元、日本円で1兆円を超えている。それでも最終利益は赤字。自社で物流網を持ち、配達員も自社の社員。なので配達が早く、配達員のサービスも他よりいい。返品等のアフターサービスもいい。日本だと想像しにくいけど、中国には無数の配達業者があって、通販(中国のアマゾンでも)で商品を買っても部屋まで届けてくれず、電話がかかってきて、家の近くの○○まで取りにくてください、と言われることがある。商品は家電がメインで価格も安い。
蘇寧電器(苏宁电器)
実店舗をもつ中国最大の家電量販店。南京で創業。日本のラオックスを買収したのもここ。京東商城に遅れてネットに進出。蘇寧易購(苏宁易购)というネットストアを開設。売上は2012年が183億元、2013年が230億元、約4000億円くらい。実店舗を2013年は100店舗ほど閉店している。
1号店
网上超市(ネットのスーパーマーケット)と公式サイトに書いてあることからわかるように、食料品がメイン。買い物の合計金額が100元(1700円くらい)以上だと送料が無料になる(場所によっては無料にならない地区もある、僻地とか)。なので会社で女性が何人かで、まとめてお菓子を注文して、会社に届けてもらってわける、なんて使い方がされている。2013年の売上は68亿元、約1100億円。
中国アマゾン(亚马逊)
中国ではシェアが低いアマゾン。若くて、こっち方面の情報に敏感な人は使っている感じ。売っている物は偽物がないけど、価格は高い、本については、アマゾンに無かったら他の場所にもない、というイメージらしい。キンドル端末は日本の方が安いから、一時期日本で買って中国で転売するという商売が流行っていた。中国単独でのアマゾンの売上は公表されていないはずだけど、調べてみると105億元(約1800億円)という試算が見つかる。
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淘宝網(タオバオ)の天猫モール(TMALL)
シェア最大。タオバオ(淘宝網(タオバオ))が始めたサイトで、企業が出店。天猫とタオバオの違いは、タオバオは個人が簡単に無料で出店できるけど、天猫モールは企業しか出店できず高い手数料がかかる。日本のヤフオクがタオバオで、楽天が天猫モールに近いと思う。タオバオは偽物も多く、中国人でもよく偽物を掴まされた、という話を聞く。一方、天猫モールの方は企業がやっていてハードルも高いので、信頼性がより高い。今中国ではタオバオの個人対個人の取引から、企業対個人の取引へと移行している。
会社員でも副業でタオバオに出店している、という人がたくさんいるけど、無料なのにタオバオがどうやって儲かるかというと、タオバオでは誰でも出店できるのでその分競争が激しくて、ライバルから抜き出るために、売りたい商品を目立たせることができるオプション等が有料で販売されている。
2013年の中国の通販サイトの決算を見ると、前年比50%増とか60%増という数字が並んでいて、日本の感覚からすると凄い、となるんだけど、4,5年前は前年比100%増とか150%増という世界だったのが、それ以降毎年伸び率は下がり続けているので一番旨味のある時期というのはもう終わってしまったんだろうと思う。
最近話を聞いて面白かったのは、团购(tuan2gou4、グルーポンみたいなもので、中国で普及している共同購入すると安くなる券みたいなもの)を転売している人の話。中国ではレジで携帯を出して、クーポンを見せているのをよく見かける。企業間の競争が激しくて、こういう割引券をどんどん出しているから、これをいろんなルートで安く仕入れてタオバオで売って差額を得るという、この辺のスピードが大事な商売は中国人は得意だなと思う。