「本」カテゴリーアーカイブ

「奇跡の脳」ジル・ボルティ・テイラー博士のリハビリ方法を自分に役立てる

少し前にNHKの番組「復活した“脳の力”~テイラー博士からのメッセージ~」 を見た。

新進気鋭の女性脳科学者として活躍していたジル・ボルティ・テイラー博士。37歳で脳卒中に倒れ、一時、言語や思考をつかさどる左側の脳機能が停止した。8年間のリハビリを経て完全復活を果たした彼女の手記は、脳卒中の実態や脳の未知の力を示す貴重な記録として、人々の共感を呼んでいる。闘病中には不思議な幸福感を感じたと彼女は語る。復活までの軌跡を追い、生命科学者中村桂子さんとの対談を交えて人間の脳の神秘に迫る。

番組の中で「ジル・ボルト テイラー」さんが本を書いていることを知ったので本屋に行った時に科学本のコーナーを覗いたら、平積みになっていたのですぐに見つけることができました。「奇跡の脳」という本です。

ジル・ボルト テイラーさんの脳科学者としての視点から自分の体、脳の変化を客観的に観察している部分も興味深いが(脳の異変に気づいてから倒れて電話をかけるまでの場面は見ていて胸が苦しくなった)、僕が一番興味を持ったのはどうやってリハビリしたかという回復の過程です。テレビで見た感じだとほとんど普通の健康な人と同じように見えたので、どういうリハビリをしてあそこまで回復したのかに興味が湧きました。そしてジル・ボルティ・テイラー博士のリハビリ方法を自分の生活改善にも何か役に立てないかと思ったわけです。 僕は何か病気にかかっているわけじゃないですが、生活習慣を変えるのに役に立つんじゃないかとアンテナが反応したわけです。

本を読んだんですが、だいたい番組の内容と同じで、テレビの方が本人が直接語っているので頭に入りやすい気がしました。
リハビリの部分を特に興味を持って読みましたが、

  • 目標とする行動の手順をできるだけ細分化して一つ一つ実行していく
  • できないことではなく、できることを大切にしていく

この二つは普段なんとなく感じていることで、共感できました。これから具体的な行動に落とし込んでいきます。

奇跡の脳
奇跡の脳 Jill Bolte Taylor 竹内 薫

おすすめ平均
starsもう一度成長する
starsまさに奇跡の本
stars読むに値します・・・
stars言葉で便利になった世の中は、人間らしさを奪ってるのではないか?
stars奇跡の本!

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「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」ひろゆき を読んだ

大型書店に行ったときはだいたい店内を全部見て回ります。
新書のコーナーで扶桑社新書はだいたいそのお店でも隅に追いやられていますが、ときどきマニアックな本があるのでいちおうチェックはします。
で、この前除いたら、「ひろゆき」の新著「僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書)」が発売されていたのでさっそく読みました。

「2ちゃん」とか「ひろゆき」とかにはあまり興味がなかったんですが、「ひろゆき」のブログ?(ひろゆき日記)を見たら面白かったので興味を持ち、この新書も読んでみようと思いました。

ひろゆき氏は「将来は物理学者になりたいと思っていた」と書いていて、意外に思いましたが、彼が論理的に考える理由はそこから来ているのか、と考えると納得できました。学校の試験や、大学受験でマークシート方式のテストは非常に得意だったらしく、ゲームのルールを理解してその中で効率よく勝つのが得意みたいです。この本を読んでいると、ひろゆき氏が物事の本質を探ることに非常に興味を持っていることがよくわかります。

以前、「岡田斗司夫(レコーディング・ダイエットのススメ)」さんがgyaoの放送かなにかで「ひろゆき」のことを聞かれて、一度話したことがあるけど、自分と似ていて、また話したいとは思わなかった、一度話せば十分と言っていたのが納得できます。二人は考え方が合理的なところが似ている。

「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」の中に書いてあったんですが、この本では最初、梅田望夫さん(My Life Between Silicon Valley and Japan)と対談をすることを予定していたそうです。梅田望夫さんが今はインプットに集中したいからという理由で断ったそうで、ひろゆきさんが、僕との話はインプットにならないんでしょうかね、と書いていました。二人の対談を聞いてみたいと思う人は結構多いんじゃないでしょうか。僕は聞いてみたいですけどね。

僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54)
僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54) ひろゆき

おすすめ平均
starsさすがだねえ
stars2ちゃんねる譲渡の背景にある「自由」と「柔軟性」の問題
stars■ひろゆきらしいキレ味がありません!
stars既存メディアとネットの対比

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「佐藤優」の週間東洋経済の記事、時間を圧縮する

週間東洋経済の佐藤優の記事は毎週読むので、毎週ここにメモを書くことにしよう。
今週の「週刊 東洋経済 2009年 6/6号 」では、読者からの質問が多いという「時間管理」についての話がつづいている。

今回の佐藤優の話は「時間を圧縮する」ということについて。
ロシアでは亡命を防ぐために外国語教育を国内だけでやっていたそうだ、他の国では最初国内で外国語の基本的な教育を受けてあとは海外に留学するというパターンが多いらしい。それでロシアの外国語教育に関わる人に外国語を効率よく身につけさせるノウハウはないかと尋ねると、語学の素質がある人を集めてマンションの一室に閉じ込め、テレビや音楽など生活環境すべてを目的の外国語の環境にして2ヶ月間生活させると大学で語学を専門に勉強して卒業したレベルの語学力が身につくとのこと。これは普通大学卒業程度の時間がかかるものを2ヶ月という期間に「時間を圧縮した」ということ。佐藤優はこれを日本でもやろうとしたが中には頭がおかしくなるような人が出るため上司が人権問題になると言って実行できなかったらしい。

この「時間を圧縮する」ということについて。佐藤優は現在、週一回1時間半、語学学校に通って勉強していて、自分1人で勉強していたら絶対にできない濃密な時間を使えているとのこと。これも時間が圧縮されているからで、佐藤優さんはこのような時間を他の勉強にも使えないかと考えているとのこと。


感想
今週の話は実感として理解できます。自分ひとりでの独学は難しいんですよね。自分の意思の力に頼ろうとすると酷く時間を無駄にすることがある気がします。語学の勉強をするのに家で集中できず語学学校に行って集中できるならそっちの方があきらかに効率がいい。こういう合理的なことは当たり前のようでいて僕自身も実行できていないことがあるので、こうして文字に書くことで少しづつ変えていこう。

「ジャック・ウェルチ わが経営」は案外読みやすい。

「ジャック・ウェルチ わが経営」の単行本がブックオフで100円で叩き売られていたので上下巻とも買って読んでみた。ジャック・ウェルチという人とこの「ジャック・ウェルチ わが経営」という本は前から気になっていたんだけど、バリバリの経営本にはあまり興味がないし、分厚い本なのでずっと手をつけないでいた。

実際に読んでみると、ジャック・ウェルチという人は正直な人のようで本の内容も素直に書いているので面白いです。給料の話やリストラの話などびっくりするくらい合理的に書いているけどそれが下品じゃないんですよね。いくつか面白いエピソードがありますが、もう少しでインターネットに乗り遅れるところだったというエピソードでは、インターネットが登場したころに最初は奥さんがネットにはまっていてそれを横目で見ていたけど最初はタイピングができないからずっと使わないできて、そのうち社員がネット通販を利用している話を耳にするようになり、ジャック・ウェルチ自身がネットを使い始めると、今度は逆にウェルチ自身がネットにはまったと言っていて、自分の失敗談を正直にユーモアを交えて語っているのでさすがだと思いました。もう一つジャック・ウェルチは中国についても語っていて中国のことをポジティブに捉えているのが印象に残った。

ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫)
ジャック・ウェルチ わが経営(上) (日経ビジネス人文庫) ジャック・ウェルチ

おすすめ平均
starsGEの人名録という趣
stars良くも悪くもアメリカ企業の理想的な経営者
stars限られた時間、気が遠くなる規模。その企業経営。
stars経営とは
stars真の選択と集中とは

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「村上龍」と「綿谷りさ」のありそうで無かった組み合わせ新装版「限りなく透明に近いブルー」

「村上龍」と「綿谷りさ」の組み合わせはいかにもありそうですが私が知る限り今まで無かったんですよね。それが今回、新装版の限りなく透明に近いブルーの解説を綿谷りさが書いていました。結論から先にいうとこの綿谷りさの解説が非常に良かったです。

いつも大型書店に行ったときは、店内を一通り全部見て回ります。文庫のコーナーで村上龍のとこを見ると限りなく透明に近いブルーが新装版になっているのに気づいた。村上龍の小説はほとんど読んでいますが、この限りなく透明に違いブルーは最初の数ページを読んだだけで体が受け付けなくて最後まで通して読んでいない。ただ最後のリリーへの手紙のところはつまみ読みした。新装版の綿谷りさの解説を読んで刺激されたのもあるが、最近この限りなく透明に近いブルーをちゃんと最後まで読めるような気がしてきている。体が欲求しているような気がするんですよね。個人的な理由からなのか、時代の影響からなのか、ただの気のせいなのかはわかりません。

村上龍の「69」が新装版になったときは金原ひとみが解説を書いていました。金原ひとみと村上龍の小説は似ている気がして二人の組み合わせはしっくりくる。ただ小説に暴力とかセックスが出てくるからそう思うだけかもしれない。金原ひとみは子供の頃に村上龍とか山田詠美の小説を読んでいたと何かのインタビューで言っていたのを覚えている。以前FM東京の番組で村上龍と対談もしていた。金原ひとみの声が異様に綺麗だった記憶がある。金原ひとみの小説は新作が出るたびに買ってほとんど読んでいる。彼女の作品は言葉にならないものを表現し普段使わない脳の部分の存在に気づかせてくれる。

綿谷りさと村上龍のからみはいかにもありそうだけど、よく考えると二人は全然合わなそうにも思えます。綿谷りさが子供の頃に村上龍の本を読んでいたというのも聞いたことがなった。でも限りなく透明に近いブルーの解説を書いているのを見た瞬間にやっときたかという印象を持った、と同時に怖いもの見たさで恐る恐る解説を読んだ。

綿谷りさの著書は芥川賞を受賞した「蹴りたい背中」しか読んでいない。綿谷りさが正統派の美人なので、たいした小説は書けないだろうと食わず嫌いだったのかもしれない。「蹴りたい背中」の内容はもう詳しくは覚えていない。読んだときに感じたある種の感情、言葉にならないひとつのある概念みたいなものが小説一冊を通して脳内に浮かびあがって来た記憶は残っている。要するにいっき読みするくらいには面白かった。今度のことをきっかけに綿谷りさの他の作品も読む予定。

綿谷りさの解説を読んで、同時に芥川賞と受賞した綿谷りさと金原ひとみの二人に持っていた印象は実は逆だと感じるようになった。二人の小説を読んでみると一見二人の見た目と同じように金原ひとみがドロドロしていて、綿谷りさがすっきりしているように感じるが、実は綿谷りさの方がドロドロとしたものを心の奥底に持っていて、彼女の方が村上龍に似ていると感じるようになった。綿谷りさが書いていた限りなく透明に近いブルーの解説は予想以上に良くて、脳に強くインプットされてきた。具体的にどうよかったのかは説明できない。ただ、以下のようなことを書いていたのが記録に残っている。例えば、とても臭い腐った食べ物があったとする、村上龍の小説はこの腐った食べ物の匂いを読者に想像させるだけではなく、読者の口を無理やりこじ開け、口の中に突っ込んでこようとする。この表現はすごく正確に村上龍の小説を説明していると思う。

以下、限りなく透明に近いブルーの表紙の移り変わり。
限りなく透明に近いブルー
限りなく透明に近いブルー

1976年に出版された一番最初の単行本の表紙、今でもアマゾンで買えるようですね。意外です。

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)
限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)

新装版になる前の文庫の表紙、たぶんずーとこの表紙で変わっていないと思う。カバーデザインは村上龍となっているし、最後の手紙の内容からして村上龍本人が描いたんでしょうか。

限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)
限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)
今回新装版になってこのようになった。この青っぽい色は限りなく透明に近いブルーなんでしょうか。別に新装版になったからではないですが、この本にはこの表紙の方がしっくりきます。以前のリリーの横顔と思われる表紙は、最後のりゅうからリリーへの手紙の内容そのままで、頭にイメージが残らない気がしていた。解説で綿谷りさが書いている読者の頭の中にイメージを作り出すことがなかった。

英文版 限りなく透明に近いブルー - Almost Transparent Blue
英文版 限りなく透明に近いブルー – Almost Transparent Blue
英語版の表紙。英語版のコインロッカーベイビーズを持っていますが似たような雰囲気の表紙。

* 

夢を与える
夢を与える 綿矢 りさ

おすすめ平均
starsまぁまぁの作品
stars著者の「強み」がすべて失われた
stars普通の出来
stars読んで後悔
stars毒にも薬にもならない

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綿谷りさの一番新しい著書はこれ。国家の罠で有名な佐藤優氏がこういう小説が読まれるなら日本は大丈夫と言って紹介していた気がします。アマゾンの評価はボロボロです。まぁ気にせず読みます。金原ひとみは結構本を出してるけど、綿谷りさは蹴りたい背中 (河出文庫)インストール (河出文庫)の3冊しか書いていないようですね。大学に行ったから忙しかったんでしょうか。これからに期待です。