だまされて。―涙のメイド・イン・チャイナ(ポール ミドラー著)amazon
久しぶりの面白い中国関係の本だった。
原題は、Poorly Made in China: An Insider’s Account of the China Production Game
タイトルだけみると、よくある著者の思い込みで書いてる系の本っぽいけど、中身は充実していて文章も上手いので読みだすと止まらない。内容が面白いのは、著者が中立な立場で、好き嫌いの感情ではなくて、現実をよく観察して書いてるから。
著者は、ビジネススクールを出た後、2001年から中小企業のアメリカと中国の間の仲介を手伝ってきた人。中国が一番盛り上がってた時期に、あえて、金融に行かず、南部の広州でしかも面白そうからという理由で大企業でなく、中小企業を相手にしてきた人。駐在員でも、経営者でもないから、著者の一人語りでストーリーが進み、グイグイ引き込まれていく。途中から著者が半分あきらめモードになって修行僧のようになっているのが、何気に面白い。これからは中国の時代だとか煽る人はみんな中国に住んでないという部分には笑ってしまった。
あと、よくサプライヤーがどうのこうのという話を聞くけど、ああ、こういう仕組みになってるからサプライヤーって中国の製造業では、重要なんだと少しわかった。
関係ないけど、最近だとiphoneを作っているフォックスコン(富士康)が時々話題になってるけど、中国のフォックスコンの工場だけで従業員50万人以上いて、あまり話が出てこないのはその背景を想像すると少し怖い。
【だまされて(ポール ミドラー著)】