数学的思考法―説明力を鍛えるヒント 講談社現代新書
ちょっと本屋で見かけて興味を持ったので読んでみた。
高速拾い読みをして、いくつかなるほどなぁと思う点があったからメモしておいた。
数学的思考法というタイトルだけども、タイトルから想像する内容とはだいぶん違う、数式などはほとんどなく、文系人間?でも全く問題なく読めると思う。数学を闇雲な暗記ではなく、考え方を学ぶことでその面白さに気づかせてくれる本、だと思う。
私は理系でしたが、昔から数学が苦手だったんですよね、どこかで本当は数学は面白いはずだ!という予感はずーとしていたんですが、高校生の頃にその面白さに気づくことはなく過ぎてしまった。あんまり他人のせいにしたくはないけど、あの頃に数学に限らずいろんな学問の面白さに気づかせてくれている先生に出会っていたらだいぶん人生変わっていたんじゃないだろうかと時々思ったりします。結局は、今でも興味を持っているのは全部自分の独学で勉強した分野だから、自分でやらないと興味を持てないのかもしれませんが。
以下、数学的思考法(芳沢光雄)を読んでのメモ
数学とは直接関係なさそうなところで印象に残る部分が多かった。
・人間の予測は直線的
例えば、自動車のブレーキをかけたときの制動距離は速度の2次関数となる。だから時速100キロの時の制動距離は時速50キロの時の制動距離の2倍以上になる。予測の根拠となる仮定を明らかにすることが大事。
これはなるほどなぁと思った。本能的に直線的なものを頭の中に前提としておいてるから、本当は放物線的な動きをするものに対しても、直線的な動きを予測してしまう。これを読んだとき、これに当てはまる例をいくつかすぐ思いついた。
・説明文もたくさん書けば洗練される
読解力はあるのに作文が苦手。英文は読めるのに、英作文は苦手。という人が多いる。共通するのは「あまり書かないこと」。恥ずかしがらずに書いていれば必ず上達する。もっとも大切なのは修正する力。これがあれば最初はどんなに酷くても修正しきちんとしたものができる。結局、たくさん量をこなせば、自然と添削することになるから、修正する力がつく。
今ちょうど外国語の勉強をしていて、頭の中にモヤモヤしたものがあった。あまり書かないから上達しないというのは、あまりにもシンプルな答えだけども、真実だと実感する。この部分を読んだとき一気に頭の中にあるものがはっきりしてきた。外国語の発音や会話にしても、苦手と思っていると、どうしても対象と距離を置くから、数をこなせず、単純に練習が足りないのが原因で下手なまま、ということ。下手な理由がはっきりと言葉にして理解できたから、これからは意識的に恥をかいて練習していける。
・点より線、線より面から説明しよう
3次元で説明する。例えば日本の景気が回復したとき、そのことを説明するのに、東京だけで説明するのは点、札幌、大阪、福岡も加えて説明するのが線、そして、各都市周辺の田舎方面も加えたものが面。こういう風に、点より線、線より面で説明するとわかりやすい。女性を口説くときに、目を褒めるのは0次元、口も褒めるのは1次元、それに加えて内面的なものを褒めると2次元、さらに、時間軸を加えて、ずっと君みたいな人を探していた!というと3次元。特に時間軸を入れると説得力が増す。
上に書いた女性の例えは意訳したものなので、本の内容とは少し違うけど、この例えが面白くてニヤニヤしてしまった。点より線、線より面というのは、当たり前のことなんだけど、実際にこれを使おうと思うとなかなか思いつかないものです。これも上で書いた、説明文はたくさん書けば洗練される、と同じようにとにかく意識して使ってみるようにすることが大切なんだろう。
この「数学的思考法」という本は気軽に読めるのに、内容的には役に立つ箇所がたくさんあり、コストパフォーマンスは高い一冊でした。
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