佐藤優のインテリジェンス人生相談

インテリジェンス人生相談 [個人編]
インテリジェンス人生相談 [社会編]

週刊誌の「SPA!」に連載されていた「佐藤優のインテリジェンス人生相談」をまとめた本を読んだ。
佐藤優さんの人生相談が面白いのは、論理的に解答を導き出して、具体的な行動にまで解答を落とし込んでいる点だと思う。よくわからない精神論でなく科学の実験の結果こうなるからこうしたほうがいいよ、みたいな感じだ。

相談の内容もどろどろした人間らしい物が多くていい。相談者も回答者もどちらも嘘をついていないから面白いんだろうな。高尚な悩みでも嘘があると白けるし、つまらない悩みでも嘘がないと結構面白い。人間はその辺敏感に見抜くものだと思う。

以下気になった点と考えたことのメモ

  • 悩みはノートに文字で書くことでノートに移っていく。文字には不思議な力がある。
  • 子供の頃の夢などをノートに書いてみるとこれから先の人生が何か見えてくる。
  • 今悩んでいることをノートに書いてみると考えが整理されてこれからどうしたらいいか見えてくる。
  • よくある上昇志向にはまりこまない。こういう構造は官僚の世界からいろんな会社までどこにでもある。
  • シャイな人は嫌な人とは最低限しか付き合わないようにするといい。素の自分でいい。少なくていいから素の自分で付き合える人を作る。
  • 勉強は他人と比べない。少しでも進歩することが大切。1日前の自分と比べてどうか?
  • 脳の記憶力は凄い。大抵のことは覚えてるけどそれを思い出すことができない。だから記憶を引き出すための「タグ」をつけるとよい。

佐藤優さんの勉強に関する技術には興味がある。
ノートに悩みを書くと良いというのはよく言われている。自分が何に悩んでいるかわからないから、悩んでいることに悩んでしまい悪循環にはまりどんどん苦しくなる。話相手がいるとその人に話すことで、整理される、こともあるだろうけど、悩んでいることに悩んでいる状態の時はそういう相手がいないから、悪循環にはまっているわけで、ノートに書くというのは非常に有効な方法だと思う。

自分の場合は昔はノートに書くということは全くしていなかった。でも少し前から、気づいたことや、考えたこと、などをノートにメモするようになった。そしてノートに手を使って書くと、考えが湧き出てきたり、考えがまとめやすくなる、ということに気づいた。そこで、語学の勉強など他のことでも「ノートに書く」ことをすると頭の中だけで考えているより作業が効率的に進むことに気づいた。だから佐藤優さんが言っていることはよく理解できる。頭で考えるより、とにかくノートに書いてみると、何かが動き出す、ということに気づけたことは大きい。

ただノートに書くことを始めて気づいたのは、これも習慣にしないと効果は薄いということ。書くことをやめてしまうと、またすぐもとの悩みの悪循環にはまり込んで時間を無駄に過ごしてしまいがち。だから書くということを息を吸うのと同じように、習慣にするといい。じゃあどうやって習慣にすればいいか?これはダイエットに似ている、と思う。方法は2つあって、一つは必要に迫られること、例えばダイエットしないと3ヶ月で死ぬと言われれば大抵の人はダイエットできる。だけどこれだけに頼るのは現実的じゃない。もう一つの方法は、正確に体重と、食べたものの記録をし、食べたものと体重の関係を把握できるようにして、食べる量が減ると体重が減るということを数値で把握できるようにすること。すると体重が減ったときの喜びと食べ物を減らすという行動が脳内で結びついて、食べ物を減らすことが喜びに繋がり習慣化できる。(時には佐藤優さんの本とかを読んで励みにするのもありだと思います!)

たからノートに書くことについては、ノートに書くことでどれだけ得をしたか、ということを具体的に把握することがポイントになると思う。できないことじゃなく、できたことを確認していく。悩みを書くことで悩みが消えたらなら、そのことをちゃんとノートに書いておく。こういうことで悩んでいたけど、ノートに書いてみたら解決したとか。
語学の勉強で同じ時間内に、ノートを使うと例文を倍覚えることができた。とか。
これを続ければノートに書くこと=得することと結びつき自然と意識しないでノートを使うようになる、・・・はず。
この習慣になるまで、意識して行動できるかどうかが一番のポイントで、そのためには論理的に自分でなっとくしてから行動すると成功しやすいんじゃないかと思います。
以上、佐藤優のインテリジェンス人生相談 [社会編] を読んで考えたこと。

ショウペンハウエル「読書について」

ショウペンハウエル「読書について」

最近いろんな人が「ショウペンハウエル」の「読書について」を薦めていたので素直に読んでみた、かなり薄い本だし。「ショウペンハウエル」の「読書について」の他3編が収められているから「読書について」だけ読むなら30分もかからないです。

結論からいうと、これ相当いい本です。100年以上前の人が書いた文章なのに、まったく内容が腐ってない。「最近の若者は駄目だ」と嘆く文章が古代エジプトの石版に書かれていた(かなりいい加減な記憶ですが・・)ようなのと同じで、何か普遍的な物に迫っているから今読んでも面白いんだろうと思います。

以下、ショウペンハウエル「読書について」のメモ

  • 読書は他人の考えを借りること
  • 少なくても自分で考えたことは役に立つ
  • 小難しい文章は無駄
  • 伝えたいものがあるかどうかが大切、書くべきものがあれば自然と正確で簡素な文章が書ける
  • 自分の無知がばれるのを恐れて、思ったことを素直に書けず小難しい言葉で誤魔化そうとする
  • 無知でも素直に書けば何か伝わるものがある

読書は他人の考えを借りること。
自分の無知を隠そうとして小難しい文章を書く。

これ自分自身にも心当たりがあるから心臓がキュッと締め付けられる感じがしましたよ。
ショウペンハウエルさんの文章がセンスあるのか、翻訳がいいのかわかりませんが、内容はきついこと書いてるのに、ユーモアセンスがあるから読んでて嫌にならない、むしろ声だして笑っちゃうほど面白いんです。

無知でも素直に書けば何か伝わるものがある。

これって今ブログ書く人が増えたことで身に染みて実感します。ブログを書く人は増えたんだけど、正直に書くことを恐れて色んなところから引っ張ってきた知識や常識を使いまわしている人の文章は魅力的じゃないんですよね。普通の日常生活のことでも、自分の頭で考えて、素直に書いている人のブログは面白い。これって人間が有益な情報を取捨選択するための自然な行動なのかもしれない。
(以上、ショウペンハウエル「読書について」の感想 )

「楳図かずお」がビジネス誌に載っていた

週末にビジネス関係の週刊誌をまとめ読みしていたら、週刊誌の最後の方に「楳図かずお」がインタビューに答えていた。
雑誌は「週間ダイヤモンド」か「東洋経済」か「エコノミスト」か忘れてしまったけど、このどれかだったと思う。

以下メモを書いておく。記憶が曖昧なので間違いがあるかも。
昔、楳図かずおが30歳の頃の話をしていて、当時は連載をたくさん抱えていたので3日に1本くらい作品を書かなくてはいけなくて、作品の物語を考えている余裕は無かった。
考えないでまず描き始めていた。
描き始めると、瞬間で考えることができた。(要は一瞬の間に脳で思考して決断し作品を書くことができた。)
今のビジネスマンもこうした瞬間で考えることが必要なのでは?

インタビューを読んだ感想は、楳図かずおさんが当時非常に忙しくて、極限まで追い詰められていたから、考えて決断するという経験の回数が非常に多く、いわゆる数をたくさんこなした。よって考えて決断するというサイクルが非常に高回転できるようになり、瞬間で考え決断することができるまでになった。こういうことは今のビジネスマンにもできるんじゃないか?という内容だったと僕の中にはインプットされました。

この決断のスピードを早くするためには、数をこなすことも大切だけど、どれだけ集中するかも大切で、要するに集中できる対象を持っていることがポイントなんだと思う。あとはこれに時間の概念を意識してやることだろう。集中できることがあり、時間が有限だということを認識したら自然と、決断のスピードは速くなる。
「楳図かずお」のインタビューを呼んでそんなことを考えました。

申智愛(シンジエ)という韓国の女子プロゴルファーが凄い

韓国の女子プロゴルファー申智愛(シンジエ、신지애)。彼女をはじめて見たのは全英女子オープンで優勝したときだった。ぶっちゃけゴルフには興味がないけど友達が凄い人がいるからと進めるので試しに見たら、申智愛は素人が見てもなんか安定感があって強いとわかるプレーをしていて魅力を感じた。

そしてこの前たまたま雑誌を見たら、申智愛(シンジエ)が載っていて、プロフィールを見るとすごい人生を歩んできてるんだなとわかった。
ハングリー精神の真髄――申智愛
I’m hungry. I want to eat something.(お腹が空いた。何か食べたい)

申智愛、全英女子オープン優勝を支えたモノこっちにも少し関連記事があります)

読んだのは上の方の記事。いやー、これ立ち読みしたんですが、読みながら泣きそうになりました。正直最初テレビで見たときは、申智愛(シンジエ)の外見から少し小馬鹿にした感情が湧いたんですが、ゴルフの腕前と、プロフィール見るとそんな気持ちは完全に消えました。そもそも見かけだけで人のことが判断できるわけがないですもんね、反省。

その記事を読んだときのメモを書いておきます。記憶が確かではないので間違いもあるかも。

  • ゴルフの練習に送ってもらった帰り、申智愛の母親が運転する、弟、妹が乗った車が交通事故を起こす。母親が無くなり、弟、妹も大怪我を負う。
  • 看病をするためしばらく病院で暮らした。
  • 申智愛の家庭はもともと貧しく、事故の後、父親は仕事を止め、治療代などお金が必要だった。ゴルフで稼ぐしかなった
  • 小さい頃は人見知りが激しかった、ゴルフのお陰で、ゴルフを通して人と繋がることを学んだ。
  • 小さい頃から人生すべてがゴルフだったがゴルフが嫌だと思ったことは一度もない。
  • もうお金は十分。(賞金の10%を韓国に寄付している)
  • ツアーは1人で回っている。
  • 人は1日45分しか集中できない(テレビで見たらしい)からプレー以外のときは、いつも笑顔でいる。
  • メモはほとんどとらない。必要なことは全部頭に入ってるから。
  • 英語はだいぶ上手になったけど、わからない言葉は電子辞書を使ってそのつど勉強している。
  • あと10年はプレーしたい。恋人はいる、私をハッピーにしてくれる人。
  • ほとんどの人がプレッシャーを受けると視野が狭くなる。でも申智愛は常に広い視野を持てる稀有な存在、だとキャディーが言ってた。

スポーツのプレーをその人の生い立ちと繋げるのはあまり好きではないけど、申智愛のあの安定したプレーと生い立ちを知ってしまうと何か感じずには入られないです。そんなことは関係なしに、申智愛は実力だけで十分凄いんですが。こういうクラスの人が1人でツアーを回っているというのも意外でした。今はどうか知りませんが、20歳前後で海外に1人で渡ってプレーするって相当精神力がないと、まともにプレーできないんじゃないでしょうか。それと、韓国人のゴルフプレーヤーに強い人が増えてきている理由ですが、奇跡の韓国ゴルフ界 「朴セリ誕生物語」くらいしか、参考になるような物がなくて、あまり本とか出てないのが不思議でした。
これからも申智愛(シンジエ)さんのことは応援していきたいです。

佐藤優の東洋経済の連載 「場所を変えることで時間を圧縮できる」

週刊 東洋経済 2009年 6/13号 [雑誌]
週刊 東洋経済 2009年 6/13号 [雑誌]

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今週の東洋経済の佐藤優の連載「知の技法 出世の作法」は「場所を変えることで時間を圧縮できる」というもの。
タイトルを見ただけで、「うんうん、場所って重要だよね」と1人で納得してしまいました。
例えば東洋経済みたいな週刊誌ですが、立ち読みするとめっちゃくちゃ集中して読みます。けど買って家で読もうとすると一度も目を通さずに放置したまま。こんな経験がある人はいませんか?僕は何度もあります・・・。もちろん人によって立ち読みは集中できないという人もいて、そういう人は立ち読みをしないんだと思います。

立ち読みする人はみんな集中しているはずなので、この仕組みと佐藤優さんが書いていることって根本的には同じことだと思うんですね。佐藤優さんは、ある勉強会を非常に歴史のある古いお寺でやると、その場所の環境によって例えば同じ勉強を大学の講義でやった場合と比べて短時間に圧縮できるというようなことを書いていました。立ち読みで一番大きいのは制限時間があるから、それを意識して集中しやすいんだと思うんですね。本屋でいつまでも立ち読みするわけにはいきませんから。逆に買って家で読むときは、好きなときに読めるわけですから、逆にいうといつまでも読まなくてもOKなんですよね。だから家で読む本というのは相当好きな本、立ち読みはするけど家では読まない本は別に読まなくてもOKな本ということも言えます。

話がそれましたが、佐藤優さんが書いていることってわかりやすい勉強に例えると、家だと勉強に集中できないけど、学校の自習室や図書館などだと集中しやすいってことだと思うんですね。これをもっと身近なところで応用するとすれば、まずは自分の部屋を掃除して余計なものは置かないことだと思います。部屋に全く勉強と関係無いものが散乱していたり、いつも勉強中にテレビをつけてやっている人というのは、佐藤優さんがいう「時間を圧縮する」ではなくて逆に勉強にかかる「時間を膨張する」と思うんですね。これは自分の実体験として痛いほどわかります・・。この辺のことにはだいぶ前に気づいていたので、今では部屋に余計なものは置いてないし、テレビもほとんど見なくなりました。物事の因果関係を自分の体で理解できると努力とか精神論じゃなくて、自然と習慣が変わるんですよね。来週の佐藤優さんの連載は「明日できることを、今日やるな」だそうです。これまた期待できるタイトルですね~。